話では聞いていたが・・・ 窯焚きを終えた夜、久しぶりに寝慣れた布団に倒れこむように横たわった。 前後不覚で眠りに落ちたのだが・・・ どのくらい時間が経ったのかは解らないけど、なんとも心地悪い感じが全身を覆う気配に目だけが覚める。 ナニモノかが布団を取り囲み、横たわる僕を凝視する気配がある。 うすボンヤリした頭があぁこれが金縛りというやつだ、と自覚する。 案の定体がピクリとも動かせない、声を発しようにも喉が言うことをきかない。 聞きしに勝るいや~な感じ。 足元から胸にかけてナニモノかが這い上がってくる気配。 その妙に生々しい体への圧迫感が忘れようにも忘れられない。 聞くところによると目は開くらしいから、恐いもの見たさでその正体を見てやろうかとも一瞬思ったけれど、小心者の自分には実行に移す勇気などなかった。 這い上がってくるナニモノかと目でも合ったら・・・。
そうしてしばらく布団の上に乗る物体の重みを感じ続けていたら、ふっと開放された。嫌な感触を残したまままた眠りに落ちた。 しばらく後、再び布団の周りがザワザワしている気配を感じ目が覚める。 今度は胸元付近で飛び跳ねているナニモノかがいる。 トランポリンか何かと間違えているんじゃね~か! 恐さを通り過ぎ怒りが頭をよぎる。 でも・・・でも・・・やっぱり何も出来ないまま時間が過ぎるのを待つしかなかった。 結局怖いのであった。 その後は朝まで熟睡したが、胸に残るあの感触・・・生々しく今も思い出す。 よほど窯焚きで疲労が強かったのであろう。 疲れのせいだ!そう思い込もうとしている自分です。
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