旨いの?
夜。 虫の鳴き声が響く仕事場にて粘土をいじっていると どこからか、ものをおいしそうに噛み砕く音がする。 網戸越しに聞こえる外からの音ではない。 近い。
手を止め音の正体を探った。
居た、いた。

コウロギ君、君だったのか。 で、何を食べているの? ワラ? それとも・・・・・僕の足菌??? ・・・・・・・・・・・・・・ブチッ!ワシャワシャ、ワシャワシャ。 その音ならワラを食べているんだね。 よかった、よかった! なんかの菌が移っちゃうかも知れないと少し心配してしまったよ。 けれど、ワラを食べるんだコオロギ君は。
腹がふくれた後は、きれいな声音を聴かせておくれ。
三和土の土間に妙に相性のよいワラ草履とコオロギ。 蚊も入ってしまうけど、夕方は出入り口を開け放とうかな。 きっといろんな声音を聴かせてくれる虫達が来てくれることだろう。

虫の目にはこんなふうに映るのだろうか。
その後鳴き声はしない。 腹をくだしたからか、はたまた雌だったからか、定かではない。
汚い表現の数々、申し訳ありません。
|