バイバイ!
「たいへん、大変!」と言いながら、2階から妻と娘が降りてきた。 どうした?と聞くとムクドリが家の軒にぶつかって、そのまま下に落ちた!と言う。 3人で家の裏に回り見に行くと、ほんとだ!地面にムクドリが横たわっている。死んではいない、けれど痛くて動けない様に見えた。 素手で抱こうとしたがふと、そのままんま東氏の顔が頭をよぎり軍手を 急いで手にはめすくい挙げた。
陽の当たる所に移動して台に下ろすと、かろうじて姿勢を保っている。 致命的な怪我はしていない様子に皆ほっとする。 前回のシメの様に脳しんとうを起こしているだけのようだ。 ぼ~っ!としている間にカメラを持ってくる。
改めてみると、かわいいというよりは格好がよいと感じる。 大きさは20cm強。ムクドリの子供のように見える。 野鳥を間近で見る機会はそうそうないので、マジマジ見つめる。

そうする間に次第と正気に戻ってきたのか、一点を見つめながらも接写する僕の動きにビクッ、ビクッ!と反応している。 これほど人間が近くにいるというのは初めての経験に違いない。

翼をひろげ、羽ばたけば大空に舞い上がれる鳥を羨ましく想う。 「羽」という字を名に持つ娘も、おっかなびっくりしつつも実に興味深そうに見つめている。よ~く見ておくんだよ。
最初、横たわった姿を見た時は最悪の場合一想いに殺してやらねばいけないかも知れないと感じた。羽が折れていたら・・・・・、そうせねば! ととっさに思ったのだけれど、今思うにその考えはどうなんだろうか? 例え羽が折れていたとしても、車に乗せ獣医さんへ連れて行けばいいのではないか? よかった!幸いにして羽は折れていないように見て取ったからいいようなものの、もし折れているとなったならその時点で僕は即行動に移していたかも知れない。とっさの思い込みに従ってそうしていただろう自分の 愚かさが現実のものにならなくて、よかった。
しばらくの後、正気に戻ったムクドリはどこかへ飛び去った。 見送る娘はバイバイと手を振っていた。
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